作品レビュー
実際に鑑賞・体験した作品のレビューです。
作品の概要とあらすじ、良かった点と気になった点を紹介しております。
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目次
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ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-
概要
- 公開日:2025年2月21日(日本)
- 制作国:日本
- 上映時間:約120分
- ジャンル:ラップ音楽、アニメ映画
- 監督:辻本 孝則
- 脚本:百瀬 祐一郎
- 出演:木村昴、浅沼晋太郎、白井悠介、速水奨 他
- 年齢区分:全年齢
- 興行収入:18.3億円(2025/7/1時点)
- 配信:2025年7月時点では配信の情報は出ていませんが、まだ上映が続いている映画館があります。
音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』を基にしたアニメ映画です。
7種類のエンディングと、そこに至るまでの48通りのルート(物語)が用意されています。
劇場映画として日本初のインタラクティブ映画で、観客はスマホアプリを使用して、展開されるラップバトルの勝敗をリアルタイムで投票します。
あらすじ
H歴…人の精神に干渉する特殊なマイク「ヒプノシスマイク」の登場により、戦争は根絶された。
このマイクを通したリリックには人の交感神経・副交感神経等に作用し様々な状態にする力があるという。
女性党首率いる"言の葉党"が政権を握り、男たちはラップで優劣を決するようになった。
そして、H歴3年……。
中王区"言の葉党"が主宰する「ディビジョン・ラップバトル」にて、各ディビジョンを代表するMCグループは互いの力を競い合う。
兵器ではなく言葉が力を持つ世界で今……この国の未来をかけた最後のラップバトルが始まる。
公式サイト
より引用
レビュー・感想
良かった点
ファンも、初めて観る方も楽しめる作り
インタラクティブ映画という少し特殊な形式ですが、本編が始まる前にシステムや専用アプリの使い方について、丁寧な説明がありました。映画序盤では世界観や各チームの関係性を紹介するパートがしっかり用意されていて、キャラクターたちが歌うオープニングによって、それぞれの雰囲気や性格もすぐに掴めるようになっています。
ラップバトルの組み合わせには、過去にリーダー同士が同じチームだった因縁や関係性が反映されていて、これまで作品を追ってきたファンにはたまらない展開が用意されています。
思わず「そう来たか!」とテンションが上がるような構成でした。
実際に、作品をほとんど知らない友人と一緒に観に行ったのですが、「キャラやチームの雰囲気がすぐ分かるし、基本はライブだから曲にノるだけでも楽しい!」という感想をもらいました。
初見さんにも優しい作りになっていて、間口の広さもこの映画の魅力だと感じました。
応援上映による没入感
本作は基本的に「応援上映」の形式で上映されており、リングライトを振ったり、声援を送ったりしながら鑑賞するスタイルでした。映画の舞台自体がライブ会場になっていることもあり、自分も劇中のライブに参加しているような感覚になれて、とても楽しかったです。
また、一部の劇場では無発声上映も実施されており、応援上映が苦手な方や、集中して作品を楽しみたい方への配慮があったのも良いポイントだと思いました。
音楽とライブシーンの楽しさ
映画のために書き下ろされた新曲がなんと16曲(うち6曲は歌詞違いあり)もあり、どのルートでもバトルやライブを10曲分観ることができます。Creepy NutsやHOMEMADE家族、キングギドラなど、著名なヒップホップアーティストによる楽曲提供もあり、劇場の音響で聴くだけでも価値があります。
キャラクターの動きに合わせてライトを振る一体感も気持ちよく、ライブの臨場感がしっかり伝わってきました。
3DCGによる細やかな動きと臨場感
3DCGの表現が非常に自然で、細かい仕草や複雑な画角でも違和感がありませんでした。画面が完全に静止しているシーンがほとんどなく、画面内に常に動きがあることで、より臨場感がありました。
キャラクターが呼吸しているような動きや、微細な表情の表現が特に素晴らしかったです。
これらは3DCGならではの強みだと思います。
気になった点
料金の高さ
特別興行料金のため、年齢問わず一律で割引も効かず、ムビチケ(前売り券)を使っても2,000円、通常だと2,500円ほど。ファンにとっては妥当な金額だとしても、初見の方やそこまで詳しくない方にとっては、ちょっとハードルが高いかもしれません。さらに、ストーリーの分岐や結末は観客投票によって決まる仕様なので、「観たいルートが当たらなかった」「同じルートばかり連続で観てしまった」などのモヤモヤが出る可能性もあります。
今後、もう少し手軽に観られるような価格設定や、観客の選択肢を増やす工夫があれば、より多くの人に楽しんでもらえると思います。
上映劇場の少なさ
公開当初は全国でわずか85館。後から追加されましたが、一般的な映画に比べるとまだ少なめです。観客の投票を反映するインタラクティブ上映という形式上、専用のシステムや通信機器が必要で、すぐに拡大できるものではないと思いますが、今後の発展に期待したいです。
ネタバレあり感想
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原作などのネタバレも含みます
原作などのネタバレも含みます
初期から原作を追っているファンとしては、各チームの過去や抱えている想いが楽曲やセリフにしっかり反映されていて、大満足でした。
理想や思想を全力でぶつけ合い、戦いを通して理解し合い、共により良い国を目指していく姿がとてもかっこよかったです。
特にFling Posse(シブヤのチーム)は中王区との確執が深く、決勝や優勝後のライブには感慨深いものがありました。
私自身、このチームが好きなので、3人が倒れ込んで心から笑う姿に胸を打たれました。
また、推しはシブヤ・オオサカ・中王区なのですが、物語として一番満足感があったのはBuster Bros!!!(イケブクロのチーム)のルートでした。
彼らの披露した「IKEBUKURO WEST GAME PARK」は初期のディビジョン曲で、コール&レスポンスが盛り上がる一曲。
過去、コロナ禍や卒業研究と重なり現地ライブに参加できなかった私にとって、今回の映画でその曲を一緒に声を出して応援できたのは本当に特別な体験でした。
ファンにとっての集大成的な作品となっています。
元々ヒプマイのファンだったこともあり、これまでの物語やキャラクターたちの想いが詰まった“集大成”的な作品を映画館の大画面で観ることができて、本当に嬉しかったです。
コンテンツが終わってしまいそうな寂しさも少し感じつつ、上映が続く限りは通い続けたいなと思っています。
まとめ
限られた劇場数、やや高めの料金設定にも関わらず、興行収入は現在17.5億円を突破し、2月の公開から現在(2025年6月)に至るまでロングラン上映が続いています。
日本初の“観客参加型インタラクティブ映画”としての挑戦には課題もありますが、今後このジャンルのコンテンツがもっと広がるきっかけになる作品だと感じました。
今もなお上映が続いている映画館も多いので、気になった方はぜひ一度、劇場で体験してみてください!
Late Shift
概要
- 公開日:2017年4月19日
- 制作国:日本
- 上映時間:約90分
- ジャンル:サスペンス、アドベンチャー
- 監督:トビアス・ウェーバー
- 脚本:マイケル・ロバート・ジョンソン、トビアス・ウェーバー、クルバン・カサム
- 出演:チョ・ソヨー・バーツ、阿部 春香、ヨエル・バスマン、リチャード・ザ・ダーデン 他
- 年齢区分:
- 興行収入:多くの媒体で提供されているため測定不可
2017年に公開されたイギリス発の実写サスペンス作品です。
観客は約180箇所の選択肢を通じて主人公の行動を決定し、7種類のエンドへと進展します。
スマートフォンの専用アプリを使用して、観客の選択、投票によって物語が進行します。
また、Steam、PlayStation、iOSなどのプラットフォームでも個人でプレイ可能で、日本語字幕にも対応しています。
この作品は、映画とゲームの要素を融合させた新しい体験を提供し、インタラクティブ映画の先駆けとして高く評価されています。
あらすじ
ロンドンの大学に通う青年・マットは、深夜の駐車場警備のバイトに出勤する。
しかし、勤務早々に聞こえた物音をきっかけに、彼の運命は思わぬ方向へ。
マットは、ある美術品オークションで起こる強盗事件に巻き込まれ、逃げ場のない状況に追い込まれていく。
潔白を証明し、生き延びるため、彼(=プレイヤー)は数々の選択を迫られることに……。
レビュー・感想
良かった点
手軽に体験しやすい
PCやゲーム機だけでなく、スマホ(Android/iOS)にも対応。日本語字幕も選べるので、英語が苦手でも安心です。スマホアプリで序盤の1章は無料で体験可能なので、まず試してみてから購入するかを判断できるのがありがたいです。
フルバージョンもスマホなら700〜800円程度と、映画1本分と考えたらかなり安い部類です。
選択肢の多さ
エンディングや登場人物の運命を左右する重要なものから、ちょっとした会話の返答まで、選択肢のバリエーションが豊富。分岐はなんと約180箇所もあり、プレイヤーの意思がしっかり反映されていると感じられます。
即座の判断が求められる臨場感
選択肢の制限時間が短く、映像が止まらないので、まさにその場で決断しているような感覚になります。スリリングな状況下での判断を疑似体験できて、物語への没入感がとても強いです。
さらに、シーンの切り替わりに一切のロード(暗転)や読み込み時間がなく、映像が途切れずに繋がっているのも大きな魅力。
選択と選択の間に違和感がなく、常に物語の中にいるような感覚を保ったままプレイできます。
完全実写による高い没入感
すべてが実写映像で構成されているため、CGにありがちな違和感やバグもなく、リアルさが抜群。「自分が映画の中にいる」ような体験ができます。
気になった点
選択肢の気づきにくさ
初見だと、どのタイミングで選択肢が出るのか分かりづらく、見逃すことも。効果音や視覚的なサインがあると、もう少し親切かなと思いました。
また、制限時間が短いのもスリルの一部ですが、落ち着いて遊びたい人にはややハードル高めかもしれません。
ストーリーの分かりにくさ
物語の背景説明がやや少なめなので、集中して観ないと流れを見失う可能性も。特に、海外の文化や環境に慣れていない人には少し取っつきにくい印象がありました。
選択肢を選ぶ際の緊迫感が強いあまり、慌ててしまうと物語に置いて行かれるような感覚がありました。
周回プレイの不便さ
チャプター選択機能やスキップ機能が無いため、他のルートを見たいときにも最初からやり直す必要があります。選択肢が多い作品だけに、見たルートと未見ルートを比べながら遊びたい人にはやや不便に感じる部分かもしれません。
ネタバレあり感想
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サイト管理人は現在2周プレイ済です!
物語の構成自体は非常にシンプルで、主人公マットが事件に巻き込まれ、逃げるか立ち向かうかの判断を迫られる王道サスペンス。
けれども、そのシンプルさが逆に良くて、次はどうなるのかが常に気になる展開でした。
全体を通して、強盗団や警察との対峙によるスリルや緊張感はありますが、個人的には序盤の駐車場シーンが一番怖かったです。
深夜の人気のない駐車場で、1人きりの中で響く謎の物音……静かな場面だからこそ、余計に不気味さが増して、めちゃくちゃゾクッとしました。
選択肢については、「協力する/しない」「逃げる/逃げない」といった直感的で分かりやすいものが多く、ストレスなくプレイできました。
ただし、ルートによる分岐の幅はやや狭めで、エンディングは7種あるものの、ほとんどが終盤の推理や判断によって分かれる構成。中盤までの展開があまり変わらないのは少しもったいなく感じました。
また、選択肢は非常に多いのですが、そのぶん一つ一つの選択の重みがやや薄くなっている印象もありました。
「物語に影響する選択」と「影響しない演出的な選択」の差がもう少し明確だと、より戦略的に遊べたかもしれません。
まとめ
実写映像の没入感と、リアルタイムでの選択による緊張感が魅力のインタラクティブ作品『Late Shift』。
プレイヤーの判断によってストーリーが変わっていくスタイルは、ゲームとも映画とも違う独特な面白さがあります。
選択の多さや、ロード無しで進むシームレスな映像構成など、完成度の高さに驚かされました。
一方で、周回機能の不便さなどの課題もあるため、万人向けとは言えないかもしれません。
ですが、それを補って余りある体験が得られる良作だと思います。
自分の選択で変化するストーリー、あなたもぜひ体験してみてください!
今後も鑑賞した作品を追加していきます!