I’m Your Man
公式映像などがないため、DVDパッケージを参考に描いた画像を使用しています。
インタラクティブ映画がいつ誕生し、どのような変化をしてきたのか、作品をピックアップして紹介します。
1992年12月、マンハッタンで公開された世界初の商業用インタラクティブ映画です。観客が各自の座席にあるスティックを使って、登場人物の行動を選択します。
20分ほどの短編映画で、全体で6か所の選択ポイントがあり、それぞれに3つの選択肢が提示されました。リアルタイムで集計され、多数決によってストーリーが分岐していく仕組みです。
何度でも視聴可能というユニークなスタイルで話題を呼美ましたが、観客からは「ゲームのよう」「映画として没入しづらい」など否定的な意見もあり、普及は限定的にとどまりました。
当時のインタラクティブ映画の可能性と限界を示した歴史的な作品と言えます。
2017年に公開されたイギリス発の実写サスペンス作品です。
観客は約180箇所の選択肢を通じて主人公の行動を決定し、7種類のエンドへと進展します。
スマートフォンの専用アプリを使用して、観客の選択、投票によって物語が進行します。
また、Steam、PlayStation、iOSなどのプラットフォームでも個人でプレイ可能で、日本語字幕にも対応しています。
この作品は、映画とゲームの要素を融合させた新しい体験を提供し、インタラクティブ映画の先駆けとして高く評価されています。
2018年にNetflixで配信されたインタラクティブ映画です。
舞台は1980年代のイギリス。若いゲーム開発者が「バンダースナッチ」というゲームを作ろうとする中で、現実と幻想の境界が曖昧になっていく心理スリラー映画です。
選択によっては5時間以上にわたる分岐ルートが存在し、複数のエンディングが用意されています。
以降もNetflixはインタラクティブ映画を配信しています。
スイス、ドイツ、ルワンダの共同制作で、2024年に公開されました。1994年のルワンダで起きたツチ族に対するジェノサイドをテーマにしたドキュメンタリー映画です。
戦争犯罪で有罪になった人物の足跡を辿って、現代のルワンダを旅するロードムービー形式になっています。
証言者の話を聞いたり、加害者と被害者が共に生きる村を訪ねたり、また日常の風景を通して、過去と向き合う様子も見ることができます。どれだけ深く罪や責任、記憶といったテーマと関わるかは、観客の選択によって決まっていきます。
従来のドキュメンタリーと違い、参加型で物語を体験できるのが特徴です。国際映画祭でも、革新的な表現として高く評価されています。
音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』を基にしたアニメ映画。
物語は、7つのディビジョン(チーム)に分かれた21人のキャラクターが、ラップバトルを通じて覇権を争う内容となっている。
劇場映画として日本初のインタラクティブ映画。観客はスマホアプリを使用して、展開されるラップバトルの勝敗をリアルタイムで投票する。
全48通りの上映パターンと7つのエンディングが用意されており、参加型の新しい映画体験を提供している。
インタラクティブ映画は、観客の選択によって物語が変化する新しい映画体験を提供します。
その歴史は短いものの、技術の進化とともに多様な表現が生まれています。
今後も、インタラクティブ映画の可能性は広がり続けるでしょう。